古くから伝わるヒーリング術
最近、疲れていませんか?「癒し」「ヒーリング」を求める現代人が増え、ブームになっています。この「癒し」、実は私たちの宗門にも古くから伝わっているのです。今日は、この秘法「軟酥(なんそ)の法」を紹介させていただきます。
以下の「軟酥(なんそ)の法」は、江戸時代の白隠和尚様が伝える妙術です。
「身体の調子が思わしくなく、心身ともに疲れるようなことがあった場合、次のような観想をするとよいでしょう。
まず、色も香りもよく清浄な軟酥(命のエネルギー)の、大きな卵くらいのものを、頭のてっぺんに置いたと想像しましょう。
その絶妙な風味が骨を透って頭の中をうるおします。そして、だんだんと浸みわたり下ってきて、体全体に広がります。
その時、次のようにイメージしましょう。このしんしんと浸みながら流れ下る命のエネルギーが体を温めること、まるでよい香りのする各種の薬草を調合した薬湯につかっているようである、と。
一切は心のあらわれであるから、このようにイメージするならば、実際によい香気を嗅ぐことができ、身体も触り心地のよいものに包まれた感覚を味わうでしょう。」
白隠和尚様は、このイメージを怠らずに努めるならば、心身は調和し、どんな病も治り、徳も知らず識らずのうちに積まれることは疑いなし、と太鼓判を押されています。
この宇宙には、「軟酥=大いなるいのちのエネルギー」が満ちている。このことを思う時、先人の句が思い出されます。
大いなるものにいだかれあることを けさふく風のすずしさにしる(山田無文老大師)
わたしたちはひとりじゃありません。孤独じゃありません。この世界には大いなる命が充ち満ちていて、わたしを育ててくれています。わたしは生かされて生きています。その真実に気付いた今、
生かされている自分を感謝し、報恩の行を積みましょう
「生活信条」と自分とが一つとなった感動が溢れます。そして身も心もさわやかに!
「癒し」「ヒーリング」の原点が今・ここにあります。
(和歌山県西牟婁郡白浜町)聖福寺住職 関守研悟
妙心寺ホームページ「今月の法話」より抜粋